評価されるポイントとは?能力・売上・業績が良くても評価されません。「私の居場所はあるのかな?」と思ったら…

評価されるポイントとは?能力・売上・業績が良くても評価されません。「私の居場所はあるのかな?」と思ったら…

「数字を出しているのに評価されない」
「上司から嫌われている」
「会社の中に私の居場所がない」
こんな風に感じて悩んでいませんか。

かつての私もそうでした。
「売上がすべて」
「結果を出せば評価される」
そんな風に思っていました。

もしかすると、結果さえ出せれば、まわりからどう思われても良かったのかもしれません。
しかし、それでは組織から評価されないのです。

そんな私が、一部上場企業の人事部に配属されました。
その後、3,000名を超える採用と評価に関わってまいりました。
評価される側から評価する側に立ってみて、大きく考えが変わりました。
その経験から、組織から評価されるポイントをお伝えします。

能力・売上・業績が良くても評価されない!

なぜ、能力が高く、売上や業績が良くても、会社や上司から評価されないのでしょう。
自分の仕事について正当に評価がなされていないと感じ、
「会社に私の居場所はあるのかな?」と悩まれている方も多くいらっしゃいます。

ここからは、組織から評価されない理由について解説していきます。

なぜ、あなたは評価されないのでしょう?

例えば、お客様がある販売員から、誕生日プレゼント用に洋服を購入しました。
お客様が喜ぶ商品やサービスが売れたら、販売員は評価されるのでしょうか?

もちろん評価されます。
そしてそれ以外に、お客様が喜んだことに関わった「能力の高い人たち」も評価されます。
この「能力の高い人たち」とは誰でしょうか?
考えてみてください。

販売員はお客様の欲しい商品を選び、売上に貢献したので評価されます。
しかし、この洋服が売れるまでに、いろいろな人が関わっています。

  • お客様が喜ぶ洋服を仕入れた人
  • プレゼント用にきれいに包装してくれた人
  • 洋服をつくった人
  • 洋服のデザインをした人
  • 生地をつくった人

このように、お客様が喜ぶ買い物をするまでに、さまざまな専門家が関わっているのです。
どんなに個人の能力が高くても、誰も一人では活躍できないのです。

能力・売上・業績が上がれば評価されます。
そして、それは個人が評価されるのではなく、関わった人たちみんなの成果なのです。

能力の高い人は、業績や売上を上げようと一生懸命になるあまり、まわりが見えなくなる傾向があります。
自分のことしか見えていないと、組織からの評価を下げてしまいます。

高い能力に加えて、
「自分の能力の高さが発揮できるのは、他の分野で能力の高い専門家の協力があってこそだ!」
という謙虚な姿勢が備われば最強です。

組織から評価されるためには、謙虚さを持ち、まわりを見る意識が大切です。

自由と満足を手にする評価は100点ではダメ

数字が上がっても評価されない頃の私は、上司から「お前には謙虚さがない!」と繰り返し叱責されました。
そんな私が「将来会社を背負う人材を育ててくれ!」と人事部に配属されました。
それからの時間は、就業規則という縛りはあっても、私にとってやりがいと誇りが溢れる時間でした。

あなたは、上司からの期待に「100点」の仕事をしたら、高い評価を得られると思いますか?

いいえ、それでは高い評価は得られません。

例えば、あなたが外出時に突然の雨に見舞われたとします。
あと50mで目的地なのですが、傘を持っていなかったあなたはビニール傘を購入します。
そして、無事に目的地に着きました。

その時あなたは、
「この傘すごい!完璧!やったー!バンザイ!」と高い評価をするでしょうか?
おそらく、傘を買って雨に濡れなかったことは「当たり前」で、
感動するほどの満足感は感じないのではないでしょうか。

仕事も一緒です。
求められる100点の仕事をしても、上司から得られるのは「100点を取るのは当たり前」という評価です。
そして、「100点未満は不満・不満足」となってしまうのです。

上司や会社を満足させるためには、期待を上回る「101点」が必要なのです。
そして、100点を超える101点以上の仕事をし続ける必要があるのです。

「どうやって101点以上を取るの?」
「そんなの私には無理!」
「日常業務で精一杯!」
そう感じてしまう方もいらっしゃるでしょう。

でも、じつはそんなに難しいことではありません。
特別なスキルではありません。
集団で生きるためのとてもシンプルなことです。

それは、相手に敬意を払うことです。
その敬意があなたの視野を広げ、100点の仕事にプラス1点を与えるのです。

礼をもって形で接する

まず、相手から評価される土台が『礼儀』です。

『礼儀』という言葉は、
『礼』という「社会秩序を保ち、人間関係を維持するために守るべき、社会生活上の規範・心」の意味と、
『儀』という「きちんと整えた形」で成り立っています。

『礼儀』とは、心を形に沿って使うことです。
あなたが「おはようございます!」とあいさつした時、苦手な上司に無視されたとしましょう。
その時は、『儀(形)』で接します。

あいさつの形は、「明るく・いつも・先に・続ける」です。
ビジネスにおいては、『儀(形)』を優先することが大切です。

相手に心を乱されて嫌な態度を取ったり、
「相手があいさつしないから、こっちもしない!」などとやり返していたら、
苦手な上司とはなかなか上手くいきません。

苦手な相手ほど『儀(形)』を通して、笑顔や丁寧さで接する意識が大切です。
ビジネスでは数字的な評価以前に、どんな相手とでも礼を尽くして接する形を持つことが大前提なのです。

相手を変化させるコミュニケーション能力

評価されるためには、礼を尽くして人間関係を構築し、維持していくことが重要です。
それには、コミュニケーション能力が不可欠です。

多くの方が誤解していますが、コミュニケーションとは、自分の考えや気持ちを伝えるだけではありません。

コミュニケーションとは、関わりを通して相手を肯定的に変容させることです。
誰も人を変えることはできませんが、影響力を持つ人は、
コミュニケーションを通して相手を「自ら」変容させてしまうのです。

それでは、苦手な相手が自ら変わってくれるには、どうしたらいいのでしょう?

例えば、あなたはダイエットに興味がありますか?
もし、苦しまず体重を減らす方法があればどうでしょう。
あなたはその答えを知りたくないですか?

これが相手を変える方法、相手の興味・注意をあなたに向ける方法です。
要するに、相手の望むことを、あなたが提供すればいいのです。

そのためには、まずはその人の望むことを知らなくてはなりません。

あなたは、「上司があなたに求めていること」を知ってますか?
コミュニケーションは、相手の期待の範囲でしか起きません。
「上司の期待」を知らなければ、あなたは成果を上げることはできないでしょう。

そのためには、あいさつやお礼、返事といった「礼儀」を大切にしてください。
苦手な相手にこそ、いつもの倍の笑顔や丁寧さを意識してください。

そうやって信頼関係を築き、上司が仕事でどんなことを大切にしているのかを知ってください。
人は自分の価値基準を大切にしてくれる人に強い信頼感を持ちます。
礼儀を持って丁寧に接することで、上司の価値基準やこだわりが見えてくるでしょう。

上司が体重を減らしたいなら、あなたはその方法を提供すればいいのです。
上司が数字を上げたいのであれば、チームで数字を上げることに協力しましょう。
上司があなたに「誰かを育てて欲しい」と期待しているなら、そうすることです。

私は、部下の役割のひとつに「上司の仕事の成果を上げること」があると思うのです。
あなたはどう思いますか?
組織で評価されるために大切なのは、価値基準を見誤らないことです。
コミュニケーションを通して「上司の期待のありか」を知りましょう。

評価されるために!

個人の能力が高く、売上や業績が良くても評価されない理由をお伝えしてきましたが、
それでは、組織から評価されるために、私たちにできることとは何なのでしょうか。

ここからは、評価されるための大切なポイントをお伝えしていきます。

成果とは何か?

20世紀最高の知の巨人、P.F.ドラッカー氏はこのように述べています

貢献に焦点をあわせることによって、自らの専門分野だけでなく、組織全体の成果に注意を向けるようになる。
成果が存在する唯一の場所である外の世界に注意を向けるようになる。

(出典:「経営者の条件」 P.F.ドラッカー)

このように成果とは、私たちの働く組織の外にあるのです。

トヨタであれば「車を運転する人に喜びを提供すること」、
Googleであれば「検索するユーザーに役立つ情報を提供すること」です。

そして、自らの専門分野だけではなく、組織全体の成果に注意を向ける必要があります。

スターバックスでは「お互いに尊敬し信頼し合う人間関係によって結束力を高めた組織、
そして人間同士の相互補完によって組織的能力を高めていくような組織づくり」が求められています。

組織内で専門家同士が補完し合い成長した結果、顧客へ貢献することが組織全体の成果となります。
成果は組織の外にありますが、そのためには共に働く仲間の結束力を高め、
お互いを補完しながら能力を高め、成長していくことが重要なのです。

自分一人が売上や業績を上げても、成果とはならず、組織から評価されないのは、こういう理由なのです。

人間性の評価

評価されるために、まずは自分の「存在力・人間力」を研きましょう。
人材育成のプロとして3,000人の採用に関わり、人事部で学んできた私が見つけた「存在力・人間力」は以下の5つです。

① ビジョンと夢を持っていること

未来を描く志が、人の心を動かすからです。
白血病からわずか2年で、東京オリンピックの代表に選ばれた池江璃花子さんをご存じであれば、
ビジョンと夢の大きな力に触れたことでしょう。

② 無償の愛

成果とは貢献することです。
誰かのために動く気持ち、人に対する思いやりが大切です。

③ 信念

信念は感じるもので、その定義は難しいものです。
その上で信念とは、自分の強みを活かして社会に役立つことを信じる気持ちです。

④ 感謝と謙虚な心

チャレンジする姿勢が評価されるので、ストレスはつきものです。
そこでどんなことが起きても、感謝の気持ちが必要です。
そして、自ら誇張しなくても、まわりから理解されるようになります

⑤ 一所懸命さ

置かれた場所で咲きましょう。
すると、あなたの内側から、「努力から生まれる自信」が表れてきます。

評価とは?

私は、会社から与えられた仕事の結果を出していました。
まわりもそれを認めてくれました。
しかし、会社は私を評価してくれませんでした。

私は評価されるコツを知らなかったのです。
私たちは、知らないことはできないのです。
知っていれば、持っている能力を100%以上に発揮することが出来ます。
つまり、知識はひとつの能力ともいえます。

「自己満足している人に、組織として仕事を任せることは難しい」
上司から言われたこのダメ出しで、私は変わることが出来ました。
「成果や結果」と「評価」は、違うということを知ったのです。

まずは上司に、「自分が期待されていること」を確認しましょう。
その上で、あなたが「上司に期待していること」を伝えましょう。

上司の仕事の成果は、部下の成果を支援すること。
部下の仕事の成果は、上司の成果を支援することです。

あなた一人の活躍だけでは、評価されるどころか問題児になってしまうこともあるのです。
評価されるとは、自分の人間性を研き、仲間と共に組織の仕事を通して社会に貢献することなのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
組織で評価されるポイントについてお伝えしました。

どんなに能力が高くても、
どんなに結果を出しても、
コツを知らなければ、組織の中で評価されることはできません。

コミュニケーションスキルや存在力・人間力を研き、
自分に期待されていること、上司が望んでいることを提供する必要があります。

もし、今あなたが組織の中で評価されないと悩んでいるのであれば、
コミュニケーションスキルや人間力を研いてみませんか。
あなたの優れた能力を活かし、組織の中で活躍できるスキルを身につけてください。

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